・ホンダ RA271
ホンダがF1レースに参戦し始めて60年が経過した。それを記念して、初めてF1に挑戦したマシン「RA271」がHondaウエルカムプラザ青山に展示されているので見学に行ってきた。
改めて昔の葉巻型F1マシンの小ささを実感する。排気量1.5リッターのV型12気筒エンジンそのものはカバーされていて見えないが、排気管の出方から横向きに搭載されているのがわかる。そのメカニズムの複雑さは想像するしかないが、この時代のひとつの頂点を極めたものであったのだろう。
展示場所のウエルカムプラザがあるホンダ本社ビルは2025年に建て直しが決まっている。工事前に訪れてみることをお勧めする。
・ロールス・ロイス 20/25HP ドロップヘッドクーペ
とある場所に飾ってあるベルナール・ビュフェの作品には、ロールス・ロイスが描かれている。
ロールス・ロイスの権威であり、ワクイミュージアムの創設者である涌井清春さんに伺ってみたら、すぐに答えが返ってきた。
「このクルマは、1920年代後半から30年代に掛けての20/25HPのドロップヘッドクーペです。ベビーロールスと呼ばれていました」(涌井さん)
ビュフェはしばしばロールス・ロイスを描いている。
「ビュフェのロールス・ロイスは、上手く特徴が捉えられていますね。独特の描き方をされているのですが、どのモデルだかわかるところがさすがです」(涌井さん)
この作品では、ホイールとラジエーターグリル、サイドウインドの大きさと各々のバランスが正確に再現されている。クレマチスの丘にあるベルナール・ビュフェ美術館に今度行ってみたいと思った。
・トヨタ シエンタ
今月の「10年10万kmストーリー」は、たった1年9か月で10万1000kmを走ったトヨタ シエンタ(2022年)。仕事に使われていたクルマではなく、中年夫婦が日常の移動手段として乗っているクルマだ。でも、どんな走り方と使い方をしたら、こんな超ハイペースになるのだろうか?
2回、電話で話してみたが、確信は得られなかった。そのため、直接に会って確かめるしかないと、四国に行ってきた記事( https://note.com/kanekohirohisa/n/n18537b2e0c1a )をぜひ読んでみてください。
・ロータス エメヤ
大雨の中、青山で発表されたロータスの新型EV「エメヤ」。これまでのロータスとしても珍しかった4ドアボディのGTである。強力なモーターを前後に1基ずつ搭載し、超高性能を実現している。
最高出力918hpから0-100km/h加速2.8秒以下、0-200km/h加速9秒という世界最速の1台だ(エメヤRの場合)。
航続距離は、エメヤとエメヤSが500-610km(WLTP,コンバインド)、550-695km(WLTP,シティ)、エメヤRが435-485km(WLTP,コンバインド)、480-530km(WLTP,シティ)。
電子制御サスペンションを備え、シートにはマッサージ機能まで付いている。小型軽量でシンプルなサスペンションで、エンジンは大手メーカー製のものを搭載している。
今までのロータス製スポーツカーとは何から何まで違っており、変わらないのはエンブレムぐらい。早く乗ってみたい。
・フォルクスワーゲン ID.BUZZ
フォルクスワーゲンのイベントに駐めてあったのが、ID.BUZZだ。空冷エンジンが搭載された最初期のフォルクスワーゲン タイプ2のイメージを活用して造られたミニバンのEVである。
すでに欧米マーケットでは発売されているが、日本は2025年だそう。
インテリアはすでに発売されているEV「ID.4」を踏襲しているが、ボディカラーのイエローを反転させたり、ウッド柄や艶消しアルミ素材を使ったりしているところは、素っ気ないVW各車と違って楽しく見える。
昨年に、1960年代前半にタイプ2とタイプ1(ビートル)で世界一周した人を取材したことがある。(記事はこちらです。
https://www.volkswagen.co.jp/ja/magazine/type2_traveler.html
)。
その時に、別のオーナーさんが所有しているタイプ2を見せてもらうと、タイプ2の小ささに驚かされた。ID.BUZZは、それよりも2.5まわりくらい大きくなった印象。来年の発表が待ち遠しい。
プロフィール
Hirohisa Kaneko【金子 浩久】
モータリングライター。
クルマとクルマを取り巻く人々や出来ごとについての取材執筆を行なっている。
最新刊は『クラシックカー屋一代記』。