15分の1の魅惑の世界
ウイングローブのベントレー・ブロワー
ワクイミュージアムの涌井清春さんのオフィスを訪れたら、貴重なものを見せてもらった。スクラッチモデルビルダーの故ジェラルド・ウイングローブが製作したベントレー・ブロワーの15分の1の模型だ。
ウイングローブの作品はケースに収められたものをミュージアムで目にしたことはあったが、こんなに近くで見たのは初めてのことだった。ウイングローブは、1台ずつ仕様やコンディションが異なるクラシックカーの実車の寸法を測り、素材を調べたりして“取材”してからモデル化を行っていたことで有名だ。だから、着手から完成まで数年を要したのは珍しくなかった。
静かで穏やかな走り味は申し分ないけれども、何かひとつ特徴が欲しいところ。クルマ本体ではないけれども、「Bespoke Build」というオーダーメイドシステムが用意されているのは特徴と呼べるだろう。17色の外装色、アルミホイール、シート表皮、インテリアカラー、シート配色、シート刺繍、刺繍&ステッチ色、シートベルト、トリム加飾などで好みのものを選び、組み合わせて注文することができる。
レクサスでは、オーダーシステムは旧型「LS」で一度行われたことがあるだけで、このLBXが2度目のトライということになる。ラグジュアリーを標榜するならば、クルマ本体の開発だけでなく、このオーダーシステムのようにオーナーの満足度を充実させることも大切になってくる。
新旧どちらも……
マツダ・ロードスター
良く考えられ、使いやすく現代的な高級感も醸し出している。
3列シートの2列目も2座席のキャプテンシート仕様(別仕様もあり)だから利便性も高い。大きさを有利に使っている。走り出すと、6.2リッターV8エンジンの生み出す大トルクの余裕と10段ATのスムーズな変速にも驚かされた。箱根ターンパイクのコーナーでもキビキビ、そしてしっとりと曲がっていった。ひと回りもふた回りも小さなクルマを運転しているような一体感もあった。
30年8万8000kmの!
ランチア・デルタ インテグラーレ
noteの「金子浩久書店」と『モーターマガジン』誌で毎月連載している今月の「10年10万kmストーリー」は、30年8万8000km乗り続けられているランチア・デルタ インテグラーレ。一時は、東京の路上でも良く見かけた、この世代のデルタにも最近ではなかなかお目に掛かれなくなった。素敵な家族の物語を乗せたクルマだった。ぜひ、読んでみて下さい。
プロフィール
Hirohisa Kaneko【金子 浩久】
モータリングライター。
クルマとクルマを取り巻く人々や出来ごとについての取材執筆を行なっている。
最新刊は『クラシックカー屋一代記』。