〈書籍の内容〉
こんなすごい画家が眠っていたのか、と日本美術界を驚嘆させた幕末の絵師、狩野一信（1816～63年）。江戸絵画と近代絵画の端境期に登場した奇想天外の絵師が、その最晩年に人生をかけて取り組んだ入魂の大作が東京・増上寺の“五百羅漢図"全百幅。

縦172.3×横85.3cmの大幅の絹本に、極彩色で一幅に5人ずつ羅漢を描き、百幅で「五百羅漢図」となる、壮大な仏画です。強烈な陰影表現をともない、全体に強い調子による彩色が濃密な空間を醸しだし、羅漢をはじめとする画題の強い個性と相まって、背筋がぞくぞくしてくるような驚愕の仏画の境地に達しています。
法然上人800年遠忌奉賛『五百羅漢』展ではじめて一堂に展覧された作品を最新の印刷技術で後世に残る良質の豪華美術書としてまとめました。また、これまで生涯が判然としていない狩野一信の画業を明らかにすべく、資料をくまなく調査し、その全容に迫ります。

〈おすすめポイント〉
●増上寺所蔵の狩野一信「五百羅漢図」を中心に、現在判明している一信作品と一信に関連深い作品を収録した、本邦初の豪華画集です。
●百幅すべての全図はもちろん、部分拡大図をふんだんに盛り込んで、細密描写の筆致まで鑑賞できます。
●極彩色をふんだんに使った強烈な陰影表現を最新の印刷技術で忠実に再現しました。
●海外にある作品や、子孫のもとに残る下絵など、現存する資料をくまなく調査。謎に包まれた一信の生涯をたどるとともに、画業の全容に迫ります。

完成以来150年、日本美術史から忘れられた存在となっていた「五百羅漢図」。見るものを惹きつけずにはおかない、その強烈な作風。あなたの目前にその全貌が現れる・・・。知られざる奇跡の絵師との出会いがここに。