「現代の浮世絵師」と呼ばれ、小学館『ビッグコミックオリジナル』で連載された漫画作品『ヒゲとボイン』や、大手酒造メーカー黄桜のテレビCMキャラクターである「女かっぱ」のキャラクターデザインなど、数々の作品を遺した小島功さん。

1995年に高見沢木版社を通じて出版された、書き下ろしのオリジナル木版画『水辺有情』は、代表作である「女かっぱ」たちが四季折々の風景で描かれる12枚の連作だ。妖艶なカッパを黄桜のオファー以外で描いたのも、この作品が初めてとなり、発売されるとすぐに完売したそうだ。さらに、東京都知事指定「東京伝統工芸品」および、文化庁が定める「重要民俗文化財選定保存技術」として認定されるなど、多方面から評価を得ている。
本作品は、「龍田川」をジクレー版画で複製画として復刻した。

ジクレー版画とは、従来の多色刷りの版画やリトグラフとは異なり、顔料系の塗料を紙に直接吹き付けて印刷する技法。
先ず原画をスキャナーで読み取り、デジタルデータ化。次に最大で1,677万色を表現可能な専用の印刷機で印刷する。これにより、微細な発色や濃淡を極限まで再現でき、原画が持つ味わいを余すところなく表現できるのが特長だ。しかも、使用される顔料系の塗料は耐光性、耐水性に優れ、作品を末永く部屋に飾ることができる。高精細に色彩表現ができるジクレー版画の技術を活かし、木版画に限りなく近い色で再現した逸品だ。