錫（すず）は酸化や腐食に強く、菌の繁殖を抑制する作用がある。注ぎ入れた飲み物の味をまろやかにするといわれ、金属特有のにおいもしないことから、食器や酒器などの素材として重宝されてきた。そんな錫を用いて製作されたロングタイプのタンブラー『六花』である。
すらりと伸びたフォルムが手にしっくりなじむ本品は、ハイボールやビール、水割りなどを美味しく飲むために作られた酒器。錫のイオン効果により酒の雑味や苦みが抑えられ、錫は熱伝導率が高いので、氷を入れるとすぐにタンブラーが冷やされて、ハイボールなどは飲み頃の冷たさになる。
また、内側に施されたディンプル（凹凸）加工によって、ビールを注ぐときめ細かな泡が立ち、風味や炭酸ガスが抜けにくくなる。
本品を製作したのは、1949 年創業の大阪市の錫製品メーカー・大阪錫器株式会社。同社代表の今井達昌さんは、厚生労働省が卓越した技能者を表彰する制度「現代の名工」に選ばれた、腕利きの職人でもある。
いつものビールやハイボールが、さらに味わい深くなる錫製のタンブラー。家飲み派の方は、ぜひ愛用いただきたい。