猫のいる日常的な光景が切り取られたこのグラス。日本の伝統工芸品である切子の世界に、新境地をもたらした作品として評価が高い、その名も『猫切子®』と呼ばれるグラスである。
　2015年より創作を開始したというガラス工芸作家、可夜さんによる「可夜硝子」は、飼い猫をモチーフにしたガラス作品の制作を専門とするアトリエ。今回紹介する『猫切子®』は、可夜さんのデザインを基に老舗の切子職人が製作したもの。伝統の技術と現代風の斬新なデザインが融合した、切子のファンにも猫好きにもたまらない仕上がりとなっている。
　作品群のひとつである「夕焼け猫」は、ベランダの柵越しに見える電柱と電線の背景に広がる夕焼けに猫の姿が際立つ。「星詠み猫」は幻想的な星の瞬きに、心奪われるかのように動きを止める猫。そして「神社猫」は、神社の鳥居が見える参道を、散歩中の猫が呑気に横切る姿を描写している。
　グラスの底に再現されたこれらの光景は、注いだ飲み物を飲んでいくほどにはっきりと見えてくる。夏の夜の晩酌には、こんな情緒あふれる器が合う。