落語界きっての鞄好き・林家彦いちさんが、新たなバッグを完成させた。いくつもの寄席を「掛け持ち」するのは人気落語家の勲章。本品は、日々忙しく、いろんな場面を駆け回る人がふだん使いできるものを目指して製作された。タッグを組むのは日本を代表する鞄メーカー・アドのブランド「フルクリップ」だ。プロダクトデザイナー・平垣亨さんは、船の帆のシェア世界一を誇るディメンションポリアント社が開発した「X-Pac」を生地に採用。防水性があり、高い引き裂き強度を持つこの素材に、強靭な8号帆布を貼り合わせ、高機能ながらカジュアルなデザインに仕立てた。街では肩かけ、重い荷物なら斜めがけのショルダーベルトで、屋内では手持ちにでき、畳部屋での所作にも対応する。
「内ポケットには紺色の鮫小紋を採用しました。表地は使い込むとX形模様の質感が出るんです」と平垣さんが語れば、「エイジングする楽しみがあるね」と彦いちさんも満足気にうなずいた。
　タフな使い勝手と小技のきいたつくり。落語家のオーダーを突き詰めたら、街から畳までフル対応する万能バッグが完成した。