太く長い苧麻（ラミー）の繊維を粗めに割き、丹念に織り上げた天板を使用した雪駄である。
「リラックス」「リフレクソロジー」「レボリューション」から、「Re：休（りきゅう）」と名付けられたこの雪駄は、3か所にクッションを内蔵。地面の固さを感じる従来品とは異なる履き心地だ。
　太麻の天板は通気性に優れ、不快な蒸れを軽減。あえて粗めに編むことで、汗によるべたつきも少なく快適な履き心地を維持する。花緒には、伝統工芸品である「長尾織布」の阿波しじら織を使用。

洗うほど、肌に寄り添う育てる素材　麻の逸品

　私たちの暮らしをさまざまな形で支えてきた麻は、人類最古といわれる織物素材。寝具や衣料品など、現代の匠の技が光る品々をご紹介。

　麻とは、植物の幹や茎、葉などから採れる繊維の総称である。原料となる植物は、苧麻（ラミー／イラクサ科）、亜麻（リネン／アマ科）、大麻（ヘンプ／アサ科）、黄麻（ジュート／シナノキ科）など20種類近くある。
　麻の歴史は古く、約1万2000年前には西アジアから中央アジアにかけて亜麻などが栽培されていたとされる。日本でも縄文時代早期の遺跡から麻の縄や衣が出土しており、日本最古の歌集『万葉集』にも麻（大麻または苧麻）の収穫の情景を詠んだ歌が残る。
　現在、日本で製品に「麻」と表記できるのは、家庭用品品質表示法によりラミーとリネンの2種類のみ。どちらも原草の茎から取り出した繊維で、その織り物は通気性に優れ、触ると清涼感がある。吸湿性と速乾性にも優れていることから、日本では春夏の衣服や寝装品などに多用されてきた。
　この両者の色と風合いは多少異なる。ラミーは白く絹のような光沢があり、繊維が太く長いため、張りのあるシャリ感が特徴。一方、リネンは黄みがかった亜麻色（生成）で、繊維が細く短いため、しなやかで綿に近い風合いがある。