明治から令和にいたるまでの鉄道の歴史がわかる鉄道地図約150点をカラーで収録した、豪華なビジュアル図鑑が完成した。専門的な事業者用路線図から、地形図、観光案内を兼ねた乗客向けの沿線案内図、外国人向けの地図、鉄道開業の広告などあらゆる資料を収録。北海道から沖縄まで各地域の地図も網羅する。「専門的な路線図集は過去にもありましたが、本書ほど多様な資料を収録した地図集は前代未聞です」と本書の監修を担当した地図研究家の今尾恵介さんは語る。
「鉄道150年の歴史を網羅する資料」を編集方針に、2年前から地図を探し始めたが、鉄道に関わる人は乗る人、作る人、観光業の人などさまざまで、収録すべきは路線地図だけでないと気付く。鉄道の開通により人々の移動する機会が増え、旅行が盛んになり、観光事業や鉄道地図技術が発達した。ページをめくりながら、そうした日本の文化や日本人の暮らしぶりの変遷も読み取れるように、地図の種類や地域のバランス、歴史的価値を考えつつ、150点に厳選して編集するのに1年間を要した。

貴重な文化財級の資料を掲載その他収録の地図

　各地の博物館や個人収集家が所蔵する原本を特別に借用し、現代の印刷技術で当時の色みを忠実に再現して収録。文字のかすれや折り目が残っているものもあるが、三浦一夫編集長の「当時の使用感を大事にしたい」との思いから、最小限の修正にとどめた。今尾さんも「初めて見た」と言うほど貴重な文化財級の資料もある。
　ページを開くとA2の大きさで、両観音開きのページも3か所あり見応え十分。多くの地図を見開き単位で並べ、そのすべてで全体図を掲載。地図の見どころを拡大して見せるなど、時空を超えた鉄道旅を満喫できる。