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浅草を中心に観光地として知られる東京都台東区は、革工房が多く集まる街でもある。「池之端銀革店」は、長年ベルト業界で研鑽を積んだ小野勝久さんが立ち上げた工房兼レザーショップだ。革とベルトを知り尽くした同社が、素材と機能性を追求して製作したのが本品である。ベルト穴を設けず、無段階で長さ調整ができるため、ウエストのサイズを気にせずとも装着できると評判だ。
素材は、日本有数の革産地である兵庫県姫路市でなめされたオリジナルの姫路レザー。柔軟性に優れる「クロムなめし」と、経年変化が楽しめる「植物タンニンなめし」の混合なめしで、双方の利点を併せ持つ。また、表面にはシュリンク加工で細やかなシワを施し、柔らかな印象の革となっている。
心地よい装着感の秘密は特殊製法にある。通常は表革と裏革の間に芯材を入れて厚みを出すが、姫路レザーは元来肉厚。芯材なしで2枚の革を縫製すれば十分な厚みとなるため、革本来のしなやかさを実感することができるのだ。
「ベルトの縁のみを薄く漉くことで、ふっくらとした立体感を持たせています。回転刃に革の縁を当て、手の感覚を頼りにミリ単位で漉く作業は、熟練職人にしかできない技です」と小野さん。
体形の変化にも柔軟に対応する、長く頼れる男性の必需品である。