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アルミから削り出したボディに伝統染料「紫鉱」で彩色を施した、美しい万年筆だ。開発のきっかけは、大分県の地域商社「OitaMade」のシニアマネージャーである中道正晴さんが同県佐伯市で精密板金加工を行なう「長尾製作所」を訪れ、天然染料で染めたアルミを見たことに始まる。
「その美しさに驚きました。天然染料は吸着しにくく金属の彩色は不可能とされていましたが、長尾製作所では3年の年月をかけて製法を確立しました。私は、その画期的な技術を活かして万年筆を作ろうと決意。セーラー万年筆に話を持ちかけたところ、快く協力していただけました」(中道さん)
本品の染料は、奈良の東大寺・正倉院に奉納されている着物にも使われる伝統染料「紫鉱」。彩色はアルミの表面に開けた微細な孔に色素を閉じ込める「アルマイト」技法で行なう。さらに、職人が手打ちで施した鎚目の凹凸が光を受けて輝く様は、まるで宝石のようだ。その美しいボディに、セーラー万年筆が高品質なペン先を組み合わせて完成となる。
外したキャップを尻軸にはめることで、最適な重心バランスとなるよう設計されており、書き心地はじつになめらか。文字をしたためる機会が減りつつあるが、手書きの素晴らしさを再認識させてくれる万年筆である。