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タフネス(耐衝撃)腕時計という新機軸を築いた「G-SHOCK」を世に送り出すカシオ計算機。同社は、昭和21年、樫尾忠雄さんが東京都三鷹市に樫尾製作所を設立したことから始まる。忠雄さんは兄弟たちと力を合わせ、世界初の小型純電気式計算機「14-A」の開発に成功。これを機に昭和32年、カシオ計算機を創業する。
その後、小型化した世界初のパーソナルユースの電卓「カシオミニ」を発売し、大ヒットを収めると、新規分野開拓の一環として、時計事業に参入した。「時間は1秒ずつの足し算だ」という考えに基づき、世界で初めてオートカレンダーを搭載した電子腕時計を製作。デジタル技術を駆使した多機能デジタル腕時計は進化と挑戦を続け、昭和58年に時代の常識を覆す耐衝撃腕時計「G-SHOCK」の発売にたどりつく。
「当時の腕時計は繊細で、落とせば壊れてしまうものが多かった。そんな中、大切な腕時計を壊してしまった開発者の伊部菊雄が社内の新商品の提案書に、『落としても壊れない丈夫な腕時計』と、たった一行の案を書いたのです。その瞬間から『G-SHOCK』の開発は始まりました」と、同社東日本営業部の酒井祐美さんは話す。
開発には2年の歳月をかけ、試作品は200を超えた。苦心の末に完成したのが初号機の「DW-5000C」だった。時計の心臓部であるモジュール(ムーブメント)をケースの中で浮かせるように配置。中空構造のような独自の耐衝撃構造で、これまでにない“タフネス”を実現させた。
「アイスホッケーのスティックで打っても壊れないという紹介で、アメリカで人気を博し、世界にその名が広まりました」(酒井さん)
『MTG-B3000』は、世界的メーカーの同社が手がける数少ない日本製シリーズであるMT-Gの最新作。「構造」「ケースバック(裏蓋)」「薄型モジュール」の進化で、小型・薄型化を実現した。
新たな構造を考案し剛性をさらに向上
構造は衝撃力、遠心力、振動の3つの重力加速度に耐えるタフネス構造「トリプルGレジスト」を採用。直接衝撃を緩和し、落下衝撃に強く、過酷な重力下でも安定した運針で、激しい振動による破損や誤動作も防止する。
モジュールを保護するカーボン樹脂ケースを、ケースバック(裏蓋)とベゼルで包み込むことでさらに剛性を高めた。ステンレス製のケースバックはプレス、切削、研磨技術を駆使し立体的な複雑形状に成形しており、バンドを固定するラグやりゅうずガード、ボタンガードの機能も持つ。それが小型・軽量化にもつながった。
時計の心臓部である新モジュールは高密度実装技術により、従来モデル(MTG-B1000)に比べ、1.45mm薄型化。これによりケース自体の厚みも12.1mmと、2mm以上も薄くなった。
「薄型モジュールでありながら、機能も充実しています。BluetoothR通信機能により、スマートフォンに自動接続し、時刻を自動修正。海外でも都市を選択するだけで簡単に時刻が修正できます。蛍光灯の光でも発電するタフソーラー(ソーラー充電システム)や高輝度なLEDライトも搭載されています」と、酒井さん。
画期的なのがバンド部分の新構造。ラグの両サイドのボタンを押すだけで、専用工具を使うことなく、簡単にバンドの交換ができる。
「複雑形状のメタル外装は独特の造形美で高級感を醸します。『GSHOCK』の初期モデルを身につけていた方にも、ご満足いただける大人のかっこよさを追求しました」(酒井さん)
※電波受信が行なわれない場合や、スマートフォンと連携しない場合は、通常のクォーツ精度(平均月差±15秒)で動作します。