上半身に寄った大首絵という手法以前、日本の人物像は一般的に、立っていても座っていても全身を描くものでした。今回は、そんな日本の絵画の伝統に倣って女性たちを描いた、歌麿の浮世絵を販売します。
　顔の表情や着物や髪飾りなどの細部に寄ったことで、人物の感情や置かれた立場、シチュエーションなどがより鮮明になったのが大首絵の魅力。一方、複数の人物が描かれた全身像は、画中の人間関係や風俗など、江戸時代当時の様子がリアルに伝わり、まるで芝居のワンシーンを見ているような面白さがあります。
　額装して飾ったり、コレクションとして保存したり。どうぞご自由にお楽しみください。
　三枚続の「女行列川渡り」の1枚。着岸した小舟に乗った女性たちが掲げている荷には、五三の桐紋が空摺されています。嫁入りの一行だろうか、対岸からは荷物を乗せた舟が続々とやって来る様子も見られます。