再興第98回院展全作品集の表紙を飾り、好評を博した西田俊英画伯の「月の兎」を「彩美版®」で再現。西田俊英画伯より監修と直筆サインをいただき、限定300部を制作した。生い茂る野の草の中で満月の暖かな光に包まれた心優しい兎の姿が描かれている。画伯が郷里の伊勢で祖母に背負われながら見た輝く月と、そこに住んでいると信じられていた兎。背景のひときわ明るい月には銀色のシルクスクリーンを使用して静寂な秋夜の輝きを、草の葉の上には金箔をまぶして、葉に映る月光の美しさを表現した。額装は高級感あふれる金色をご用意。懐かしき郷里の記憶と兎の愛らしさがあふれる本作を、ぜひお手元でお楽しみいただきたい。

【作品解説】西田俊英
幼少期より変わらず私の心の友達の兎たち。彼らの可愛い仕草、用心深い性格、藍らしい瞳、柔らかな毛並み……。耳を立てて周囲を警戒している姿や元気に駆け回っている姿、モグモグと口を動かしていたり、丁寧に毛繕いをする姿など、どのポーズでも可愛いのですが、特に物思いに耽るように月を見上げている兎を見ると、どうしても幼い頃に聞いた月の兎の物語を思い出します。
月を愛し、月に愛され、古来から日本人に愛されている兎。その愛らしさに癒やされていただければ幸いです。（付属解説書より抜粋）

【西田俊英】
西田俊英画伯は、三重県伊勢市に生まれ、中学生のころから油彩画を学び、最年少で公募展に入選するなど、早くからその才能を認められていた。高校卒業後のヨーロッパ旅行中に訪れた美術館で、本場の西洋画よりもむしろ東洋画の美しさに感銘を受け、帰国後に武蔵野美術大学日本画科に入学。3年生で難関といわれる再興院展に初入選し、卒業後、当時教授で院展同人の塩出英雄画伯と、奥村土牛画伯両名に師事して研鑽を積む。
　その後、山種美術館賞展優秀賞を皮切りに数々の美術賞を受賞した後、文化庁在外研修員として一年間インドに留学することとなり、その風土からさまざまなインスピレーションを受けて、深い洞察力による人物表現や仏教思想から画風の新境地を開いた。そして、再興院展日本美術院賞大観賞、文部科学大臣賞を受賞した後、しだいに日本の古典に回帰しつつ新たな花鳥画を開拓し、再興院展内閣総理大臣賞、MOA岡田茂吉賞展大賞を受賞するなど華々しい活躍が続いた。

　以降は「森の住人」で日本芸術院賞を受賞し、幻想的な空間表現や物語性の漂う作品が評価を受けて異例の早さで日本芸術院会員に任命され、現在は美術館や百貨店で個展を開催しつつ、日本美術院同人・理事、武蔵野美術大学日本画科教授、広島市立大学名誉教授を務め、後進の育成にも尽力されています。

【彩美版®とは】
長年の経験により培われた画像処理技術を元に、厳選された素材に高精度デジタルプリントを施し、画材の質感と豊かな色調を再現した共同印刷独自の高級美術複製画です。一枚一枚に職人の手刷りによるシルクスクリーンを施し、豊かな色彩や筆遣いといった原画の持つ鼓動までも表現。半世紀以上にわたり高級複製美術品の制作を続ける共同印刷の「彩美版®」は、業界屈指のブランドとして、その高い品質から多くの美術愛好家の方に支持されており、美術関係者からも高い評価を得ている。

【作家直筆サインとエディションナンバー】
作品本紙の中には、作家本人によるサインとエディションナンバーが記され、印章が押印される（番号は選べません）。また、額裏の奥付には共同印刷株式会社が独自に開発したセキュリティシールが貼付けされ、お手持ちのスマートフォンなどでフラッシュをたいて撮影すると、作品が共同印佐生の発行する真正な版画であることを判定することができる。